第37回 牛乳販売店優良事例発表会

(一社)全国牛乳流通改善協会

優秀賞

一般社団法人 全国牛乳流通改善協会会長賞高効率経営を目指し
奮闘している販売店

合同会社 瞭
代表者小川 洵一郎

ここがポイント

  1. ①高効率経営への取り組み
  2. ②見守り活動や便利屋などで高齢者サービス
  3. ③落本防止対策の工夫

発表店概要

販売店の歴史及び代表者(発表者)の経歴

(1)販売店の歴史

2015年3月
合同会社 瞭を創業
2019年
自動販売機オペレーター業開始
2024年
自動販売機を新規に7台設置、過去分を含め計17台に

(2)代表者(発表者)の経歴

2006年3月
地元の大学卒業
2006年4月
ソフトウェア開発会社に入社、財務経理業務を担当
2015年2月
同社を退社
2015年3月
合同会社 瞭を創業

店舖概要と立地環境

(1)牛乳関連店舗・設備

  店数 冷蔵庫 冷凍庫 自販機
本店 1店 1坪 0.5坪
店舗外観
事務所風景

(2)牛乳関連営業用車両台数

保冷車 冷蔵車 軽トラック ワゴン車
バンなど
二輪車等
その他
持込車
4台 1台

(3)牛乳関連従業者数

  経営者 家族従業員 専従従業員 パート
アルバイト
合計
男性 1人 2人 3人
女性 1人 2人 3人
合計 1人 1人 4人 6人

(4)経営状況

①令和6年製品別売上高(%)
商品分類 前年比 構成比
牛乳関連 普通牛乳 108.0 97.6
加工乳
LL牛乳
乳飲料
ヨーグルト
その他宅配商品 155.4 2.4
牛乳関連合計 108.8 100.0
宅配卸以外の売上計
合計 108.8 100.0
②令和6年業態別売上高(%)
業態 前年比 構成比
宅配 88.3 59.8
卸(小売) 116.5 15.2
自販機 224.6 25.1
集団
その他
合計 108.8 100.0

③令和6年粗利益(%)
商品分類 前年比 構成比
牛乳関連 普通牛乳 114.3 100.0
加工乳
LL牛乳
乳飲料
ヨーグルト
その他宅配商品
牛乳関連合計
粗利益率 114.3 100.0
④配達の状況
配達
時間帯
コース数 集金方法(軒) 日均
本数
毎日 週3 週2 週1 訪問 振込
CVS払
引落 キャッシュレス 合計
早朝                       514本
午前                      
午後       9       339 168   507
夜間                      
その他       6       51 6   57
合計       15       390 174   564

(5)立地環境

  1. 島原鉄道小野駅に近接した住宅地にある
  2. 商圏人口約13万人、世帯数約5万5千世帯で高齢化率は30%超
  3. 競合他社は2社と少ないが、量販店とコンビニエンスストアが多数存在し厳しい状況である、更に2026年には、店舗のすぐ隣にゆめタウンがオープンする予定で厳しさが増すことが予想される。

経営方針

(経営理念)「挑戦・行動」

  • 負のイメージを払拭し、業容を拡大するために挑戦・行動する
  • 多角化経営を目指し新規事業に挑む

(経営方針)「儲かる経営への体質強化」

  • 業務の「見える化」でムダと無理をなくす
  • 利益重視の仕組みづくり
  • 戦略的経営で儲けの向上
  • 顧客の真のニーズに応える
  • キャッシュフロー経営の実践

活動内容

1.高効率経営への取り組み

①卸売業の粗利益向上を目指した営業活動の実践

卸売価格の改定交渉で粗利益向上を達成
  • 卸売業への販売価格が18.5%程度の粗利益しか生んでいないことを疑問に感じ、   取引停止覚悟で多数回の値上げ交渉を実施し、なんとか現状41%まで向上させることができた。卸売業からの粗利益としては充分な数字と思えるが、懸念材料としては他社への変更が考えられるため、そうならないように今後は十分な目配りが必要である。

②地域貢献を兼ねた「無期限ネットワーク」構築で売上向上

  • 少年野球大会協賛・町内会祭り協賛・高校運動部活動差し入れ及び応援などで人脈構築を心掛けて、売上向上に取り組んでいる。特に、長崎県の高校運動部活動での強豪チームとのパイプができて、会社の認知度が向上してきており多くのメリットを感じている。
取組方法
  1. 自分から声をかける;招待されたいなら、自分から招待する
  2. 最初の1年は関係を築く時間と考える
  3. 共通点を重視する;同じ趣味・同じ目標など
取引ができた高校運動部の例
  1. 創成館高校野球部(3年連続甲子園出場)
  2. 創成館高校サッカー部(全国高校サッカー選手権大会出場歴あり)
  3. 瓊浦高校バドミントン部(全国総合体育大会優勝歴あり)
  4. 諫早高校女子陸上部(全国高校駅伝大会出場歴あり)
  5. 向陽高校女子ソフトボール部(全国総合体育大会出場歴あり)

③自動販売機オペレーター業への進出

  • 2019年から取り組みを開始し、現在まで17台設置することができた。特に2024年は7台設置と好調裡に推移している。販売商品の粗利益も高いので今後とも適地に新たな設置を心掛けていきたい。

2.経費節減と高効率業務への取り組み

①業務のマルチタスク化

  • 従来、機能別組織をベースとして業務に取り組んできたが、課題解決を軸とした横断型のマルチタスク化への転換を図った。趣旨としては、一人ひとりが複数の視点とスキルを持つことで、組織全体の「創造性」・「対応力」を高めるという戦略的なプラス発想である。
  • 従業員の負担増も考え、下記のような改善を行っている。
  1. 役割の境界を曖昧にする設計
  2. 業務報酬のアップ
  3. 失敗できる空気の醸成
  • 達成されつつある成果として次のようなものがある
  1. 転換後6年間毎年の成果として売上高・粗利益が向上
  2. 従業員のモチベーション向上が顕著
  3. 責任感の向上
  4. 転換後の退職者ゼロ
  5. 営業成績からの解放感
  6. 休みたいときに休める環境の醸成

②経営状況の「見える化」でムダと無理をなくす

  • 従業員への決算書開示
    目的は、会社の生産性向上の必要性を全員に理解してもらうこと。人件費と売上高との関係など数字を示すことで、生産性向上が必要であることを十分に理解し、業務の改善等へとつないでいくことを期待するもの。
  • 成果として、常に効率を意識し自発的に行動するようになった。

③鮮度重視の配達で冷蔵庫に在庫を置かない方針

  • 商品は全て午後の配達にしているので、メーカーからの入荷は当日朝着とするよう発注している。当日朝に入荷した商品をそのままお客様の元へ配達することにより、鮮度の高い商品を届けることができている。
  • 結果として、冷蔵庫内の簡素化につながっており、冷蔵庫の清掃も週2回実施と清潔が保たれている。
商品在庫の少ない冷蔵庫
冷凍庫内の保冷剤

④特定非営利活動法人ロバの会(就労継続支援B型)に業務委託

  • 契約内容として、二次商品等のチラシ広告の折り込み作業など、単純だが手間のかかる業務を委託しており、現在では貴重な戦力となっている。そのため、従業員はほかの高効率業務へ注力できるようになり業務の省力化が進んでいる。
  • 職場体験学習の受け入れも行っている。その結果、全従業員が障害者に寄り添うことにより成長していると感じている。

⑤キャッシュフロー経営の実践

  • 利益とお金の流れを把握する
    利益が出ていてもお金の支払い時期に手元に原資がなく、倒産に至る事実が散見されるので、そうならないように金の流れをしっかりと把握するようにしている。
    創業当初から、現金集金の顧客に限り、「当月集金」をお願いしている。当初は賛否両論があったが、何回もお願いして理解を得ることができた。現在では約80%のお客様から当月集金の同意を得て実施できている。
    また、高齢の年金受給者からは2か月毎の支払いを依頼され、年金受給月の集金を実施している。これも一種の顧客ニーズと考えている。
  • 卸売業の集金でも、関係悪化を懸念しながらも早期支払いを何度もお願いして、了承を得ることができた。現在では、最長でも月末締め翌月29日支払いで契約を締結できている。

3.見守り活動や便利屋などで高齢者サービス

①高齢客に対する見守り活動を実施している

  • 一人暮らしの高齢者に対して配達曜日に関係なく、自宅近辺を通る際には訪問して声掛けを行い安否確認している。また、取り忘れなど異変を感じた場合には、別居中の家族に必ず連絡を入れている(一人暮らしの高齢客には別居中の家族が県内、県外であろうとも連絡先を教えてもらっている)。
  • 過去には、異常事態に遭遇した従業員が救急車を呼んで対処し、事なきを得たこともあった。

②便利屋機能の発揮

  • 身体の不自由な顧客には、配達時に冷蔵庫まで商品を届ける
  • 電球交換、ゴミ出しの手伝いなど
    このような取り組みは従業員が自発的に実施しており、今後とも凡事徹底の精神で継続して取り組んでいくことにしている。

4.安全衛生の徹底

①配達時の保冷対策

  • 保冷剤は年間使用、氷、保冷クレート使用で温度管理を徹底している

②受け箱の管理

  • 配達時拭き取り掃除を行い、2週間ごとにアルコール消毒を行っている。汚れが目立つ受け箱は、適時取り換えを行っている。

5.経営者研修及び従業員教育

  1. 商工会主宰の経営者交流会やコンサルタント主催の経営者セミナーに参加している。また、幹部の育成のため対象者には必ず一緒に受講させることにしており、経営へ参画できるよう成長することを願っている。

6.落本防止対策

  • 配達中止の申し入れに対しては1時間以内に客先を訪問、折衝している
    既存顧客維持は最重要事項であり、連絡があった場合には花や野菜、雑貨などの手土産を持って、1時間以内に訪問することにしている。長年取り組んできたので従業員もプロフェショナル化してきた。以前は5%程度の落本率が、現在では1%程度までに抑えることができている。
  • 半年毎に全顧客向けにサンプル提供を行っている。サンプル提供商品は自動販売機から発生する賞味期限の近い商品を、その旨断って手渡ししている。

7.情報提供

  • 新商品状況や連絡事項などは、雪印メグミルクグループラインで行っている。
  • 乳製品以外の2次商品については、食品・雑貨などの14業者と契約があり、毎週届くチラシを各顧客に配布している。
ナイトチア
βラクトフェリン
山出し昆布

経営専門家の意見

店主は、地元の大学卒業後、東京のソフトウェア開発会社に入社し、財務経理業務の担当となり、経営の何たるかを日々、経験しながら業務に取り組んでいたことになる。

その経験から、会社経営の根本に利益重視の考え方が強く流れているので、その趣旨を列挙してみる。

(1)高効率経営への取り組み

①卸売業の粗利益向上を目指した営業活動の実践

卸売業の粗利益率を従前の18.5%程度から41%程度まで向上させたことは特筆ものである。但し、成功の裏には心配事も発生する。それは他社への乗り換えの危険性であるが、それを阻止するための目配りが今後の課題と言えよう。

②地域貢献を兼ねた「無期限ネットワーク」構築で売上向上

店主は、大学まで現役で野球を続け、野球の実績で入社したが10年経過し現役も引退したため、会社にそのまま残るか、他の職業を選ぶかを考えていた。そういう時期に、群馬県で牛乳販売店を経営している義父の勧めで地元諫早での開業を決意し、実行した。そういう事情もあり、地元の高校野球に強い興味があり応援を兼ねて、取引を始めたいという希望があった。そのために、まず、野球部とのコミュニケーションづくりに専念し、約1年後に取引を開始することができた。その後は他の学校や別のスポーツ部との取引も増やすことができた。

③自動販売機オペレーター業への進出

2019年に開始した自動販売機オペレーター業では現在までに合計17台を設置することができた。特に2024年は7台設置と好調裡に推移している。自動販売機での商品販売は粗利益が高く経営面でのプラス効果が大きいので、今後も設置に注力していく予定である。

(2)経費節減と高効率業務への取り組み

  1. 業務のマルチタスク化:全員が全ての業務をこなせるように
  2. 経営状況の「見える化」でムダと無理をなくす:経営の効率化を考えてもらう
  3. 鮮度重視の配達で冷蔵庫に在庫を置かない方針:ジャストインシステム化
  4. 特定非営利活動法人ロバの会(就労継続支援B型)に業務委託
  5. キャッシュフロー経営の実践:絶対に倒産させない経営をめざす

特に注目したいのが、キャッシュフロー経営の実践である。世の中では、利益が出ていてもお金の支払い時期に手元に原資がなく、倒産に至る事案が散見されるので、そうならないように金の流れをしっかりと把握するようにしていることである。ここには以前勤務していた会社で、財務経理業務を担当していたことがプラスに働いていると感じる。

その他にも、落本防止対策や高齢者見守り活動、便利屋活動など、経営者と従業員が一体となって経営の効率化に取り組んでいることが感じられるので、この活動を継続していくことで、今後も繁栄していくのではないかと感じている。

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