第37回 牛乳販売店優良事例発表会

(一社)全国牛乳流通改善協会

優秀賞

一般社団法人 全国牛乳流通改善協会会長賞手づくりの“温かみ”で
地域の健康を支える!

株式会社森永ライフ
代表者大西 大介
発表者山浦 愛子

ここがポイント

  1. ①手作りで行う「健康セミナー」による効果
  2. ②訪問にこだわった「顧客接点づくり」
  3. ③お客様とのコミュニケ顧客接点づくり

発表店概要

販売店の歴史及び代表者(発表者)の経歴

(1)販売店の歴史及び代表者(発表者)の経歴

  • 代表者の大西大介氏は、地元・前橋市において新聞販売業を営む株式会社大西新聞舗の代表として事業を展開。現在も同社の経営を継続している。
  • 平成30年、静岡県に本社を置く株式会社ニシムラネットワークサービス前橋支店が撤退することとなり、同店舗の事業およびスタッフを含めて継承できる状況となったことを契機に、牛乳販売事業を引き継ぐ。
    その際、新聞販売業とは事業を分離し、新たに株式会社森永ライフを設立し、牛乳販売事業を開始。
  • 令和6年より、前橋市内の老人クラブ等を対象に健康セミナーを開始。乳製品の販売にとどまらず、地域住民の健康的な生活や体づくりに貢献する牛乳販売店としての活動を推進している
店頭の様子
左から代表の大西氏、
スタッフの山浦氏、樺澤氏

店舖概要と立地環境

(1)牛乳関連店舗・設備

  店数 冷蔵庫 冷凍庫 自販機
本店 1店 3坪 1.5坪 2台
サブ店 1店
  • サブ店として、関連会社である高崎市の新聞販売店でも牛乳の販売を行っている。
    サブ店における宅配軒数は約100軒である。
  • 自販機は、店舗前および取引先の新聞社にそれぞれ1台ずつ設置している。
冷蔵庫内
冷凍庫内

(2)牛乳関連営業用車両台数

保冷車 冷蔵車 軽トラック ワゴン車
バンなど
二輪車等
その他
持込車
3台 3台
オフィスの様子
営業用車両

(3)牛乳関連従業者数

  経営者 家族従業員 専従従業員 パート
アルバイト
合計
男性 1人 2人 3人
女性 2人 2人 4人
合計 1人 2人 4人 7人
  • 店舗の運営面に関しては、2名の専従従業員に一任している。セミナーや情報誌の発行、またお客様の情報管理なども同様である。

(4)経営状況

①令和6年製品別売上高(%)
商品分類 前年比 構成比
牛乳関連 普通牛乳 96.5 99.0
加工乳
LL牛乳
乳飲料
ヨーグルト
その他宅配商品 100.0 1.0
牛乳関連合計 96.5 100.0
宅配卸以外の売上計
合計 96.5 100.0
②令和6年業態別売上高(%)
業態 前年比 構成比
宅配 96.5 99.7
卸(小売)
自販機 100.0 0.3
集団
その他
合計 96.5 100.0

③令和6年粗利益(%)
商品分類 前年比 構成比
牛乳関連 普通牛乳 90.0 99.5
加工乳
LL牛乳
乳飲料
ヨーグルト
その他宅配商品 100.0 0.5
牛乳関連合計 90.1 100.0
粗利益率 44.2
  • 令和6年から「健康セミナー」をスタートし、少しずつ新規客も増えつつあるが、全体的な落本をカバーするまでには至っておらず、前年比では100%を割り込んでいる。
  • 集金方法に関しては、引き継ぐ前は全て引落であったが、訪問集金への移行を進めている。
④配達の状況
配達
時間帯
コース数 集金方法(軒) 日均
本数
毎日 週3 週2 週1 訪問 振込
CVS払
引落 キャッシュレス 合計
早朝                       415本
午前     4 1   79   257     336
午後       1   45 15 22     82
夜間                      
その他                      
合計     4 2   124 15 279     418

(5)立地環境

①商圏の概要
  • 商圏は前橋市、藤岡市、玉村町、高崎市の一部(約3割)で構成されており、商圏内の世帯数は約23.5万世帯である。
②競合状況
  • 競合はヤクルト、明治、布亀、小針乳業など約8店が存在する。
  • 中でも高崎エリアにおけるヤクルトは特に強く、同地域では競争環境が厳しい状況にある。

経営方針

  • 令和6年から健康セミナーをスタートしたことにより、“健康色”を前面に打ち出す方針に変わった。こうした点を踏まえ、以下のような経営方針を打ち出している。
  • お客様目線に立ち、お客様のニーズに合わせた商品の提案・お届けすることで満足度向上を目的とし、前橋市内で無料健康セミナーを中心とした健康情報の発信で、地域密着型の牛乳販売店を目指します。

活動内容

1.「健康セミナー」による効果

①手づくりで行う「健康セミナー」

セミナーで使用している
手づくりのツール
  • 地域の老人クラブや福祉施設からの依頼を受け、年間約30回の健康セミナーを実施している。多い回では1回あたり30名程度が参加しており、毎回数件の新規顧客獲得につながっている。
  • セミナーはスライド等のデジタルツールを使用せず、紙で作成した手作りのイラストやキーワードを用い、手に持って説明する形式で実施している。高齢者にも分かりやすく、親しみやすい内容となるよう工夫している。
  • 内容は骨や腸をテーマとした健康意識向上を目的としたものであり、実践的で分かりやすい点が評価され、多くの高齢者施設や地域団体から継続的な依頼を受けている。

②スタッフ主導による企画・運営

  • 健康セミナーの企画および運営は、すべて2名のスタッフに一任しており、スタッフ自身がインターネット等で情報を収集し、キャラクターのイラスト作成なども含めて内容を構築している。
  • こうした取り組みを通じ、スタッフは顧客視点で考える力や創意工夫する姿勢、主体的に行動する力など、顕著な成長が見られている。また、セミナー講師を務めることにより、健康に関する知識やプレゼンスキルの向上などにも大いにつながっている。
  • 将来的には当該スタッフへの事業承継も視野に入れており、現在は人材育成と役割拡大を通じた準備を進めている。

2.「情報誌」を通じたコミュニケーション

①“手書き”の温かさを活かした情報誌

  • 手書きのオリジナル情報誌を月2回発行している。パソコン等は一切使用せず、毎回手書きにこだわった情報誌としている。
  • オリジナルキャラクターを制作し、情報誌内ではキャラクターが解説する形式を採っている。これにより、読み手に対してより温かみが伝わり、楽しみながら読んでもらえる工夫を行っている。
手づくり情報誌
手づくり情報誌

②双方向のコミュニケーションツールとしての活用

  • 情報誌を活用した抽選会や俳句・川柳募集、年末年始プレゼント企画などを実施し、一方的な情報発信にとどまらず、双方向のコミュニケーションツールとして活用している。
  • お客様から寄せられた声や感想を情報誌に掲載する取り組みも行い、顧客参加型の情報発信を実現している。
お客様の声
「お客様の声募集」のチラシ

健康情報の提供と生活への寄り添い

  • 情報誌の内容は、栄養や健康に関する知識提供を中心としている。セミナー同様、企画・構成は2名のスタッフに一任しており、スタッフが毎回テーマを設定し、作成している。
  • 季節に応じて、秋には防寒や交通安全、梅雨時には生活の楽しみ方など、日常生活に取り入れやすい内容も盛り込んでいる。ちょっとした気づきを通じて健康をサポートできるよう工夫している。

3.訪問にこだわった「顧客接点づくり」

①訪問集金への移行

  • 店舗継承当初はすべて口座引き落としによる集金であったが、顧客との接点を重視する方針のもと、徐々に対面による訪問集金へと移行している。これにより、落本防止および顧客満足度の向上につなげている。
  • 訪問集金への移行によって作業効率は一定程度低下するものの、メインターゲットを人との会話や温かみを求める高齢者層と捉え、アナログなコミュニケーションを図る重要な手段として集金を位置付けている。

②対面コミュニケーションによる関係構築

  • 地域のお客様の健康志向やライフスタイルに合わせた商品提案を行うなど、集金時や初回挨拶などの対面機会を活かした丁寧なコミュニケーションを重視しており、笑顔と心配りによる信頼関係づくりに努めている。
  • 定期訪問時には、お客様の嗜好や生活状況、体調などを丁寧にヒアリングし、状況に応じた商品提案を行うことで、顧客満足度の向上および購買意欲の喚起につなげている。

4.販売方法の工夫

①サブスクリプション方式による販売

  • サブスクリプション方式を採用し、月額定額4,200円(税込)で週7本配送する契約形態とすることで、安定した売上の確保を実現している。
  • 本契約形態により、多くのお客様が週7本利用しており、継続的な飲用による健康促進に加え、利便性の向上による顧客満足度向上にもつながっている。

②品揃えの充実

  • メーカー経由でメイトーのビン牛乳を仕入れ、ビン牛乳の継続販売を行うなど、商品価値を重視した品揃えを行っている。
  • メーカー提供の情報誌マミークランのほか米久の食品二次商品を独自に取り扱い、牛乳以外の商品ラインアップを充実させることで、顧客ニーズへの対応力強化を図っている。

経営専門家の意見

該店は、「効率」や「短期的な売上」だけを追求するのではなく、地域住民との関係性づくりを軸とした経営を一貫して実践している点が高く評価できる。

特に特徴的なのは、健康セミナーや情報誌の企画・運営を2名のスタッフに一任している点である。セミナーは年間約30回という高い頻度で実施されており、しかもスライド等に頼らず、紙で作成した手づくりの資料やイラストを用いることで、高齢者にも分かりやすく、温かみの感じられる内容となっている。また、情報誌についても、デジタル化が進む時代にあえて手書きにこだわり、キャラクターやイラストを活用した親しみやすい紙面づくりを行っている点は、該店ならではの強みといえるだろう。

こうした取り組みは、単なる販売促進にとどまらず、地域住民の健康意識向上に大いに貢献しており、牛乳販売店が「商品を届ける存在」から「地域の健康を支える存在」へと役割を広げている好事例といえる。さらに、スタッフ主導で企画・運営を任せることで、人材育成と将来の事業承継を同時に進めている点も秀逸である。

また、訪問集金や対面でのコミュニケーションを重視し、サブスクリプション方式による安定した販売モデルを構築している点も、価格競争に陥らない独自のポジションを確立している点である。

今後も健康セミナーや情報誌を継続し、地域住民との関係性を深めていくことで、更に地域にとって欠かせない存在になっていくことが期待される。牛乳販売店の枠を超え、「地域の健康を支える拠点」として発展していく姿に、大いに注目したい。

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