第37回 牛乳販売店優良事例発表会

(一社)全国牛乳流通改善協会

最優秀賞

農林水産大臣賞アナログとデジタルの融合で
販路拡大

有限会社アレス商会
東京中央宅配センター

代表者小平 高也

ここがポイント

  1. ①商圏エリア外へのアプローチ
  2. ②イベント営業と外部営業会社の活用
  3. ③業務の効率化と従業員教育(親族以外の事業承継)

発表店概要

販売店の歴史及び代表者(発表者)の経歴

  • 1999年に東京都豊島区南大塚にて先代社長(現相談役)が知人4名とともに雪印乳業販売店として、創業。
  • 2000年4月には西日暮里店を出店し、2店体制となり、顧客数も4,000軒まで拡大していたものの、2000年6月の雪印乳業の食品事件が発生したことにより、多くのお客様を失い、南大塚店を閉店し、西日暮里店を本店として移転した。当時は家族経営の会社となっていた。その後は業績回復に注力し、2004年には足立支店を出店、2006年にはインターネット販売を開始した。
  • 2016年には足立支店を閉店し、西日暮里に業務を集中、同時期に現在の営業手法の核となるイベント営業を開始。そして、2018年にはクール便を活用した配達を開始し、配達エリア外でのイベント営業を行っている。
  • 2022年には現在の東日暮里に移転し、2023年には現社長への事業承継を行った。
  • 現社長の小平高也氏は、15年前に営業職として、該店に入社し、店長職を経験の後、2023年に社長として親族外承継をしている。
代表の小平高也氏
店頭の様子

店舖概要と立地環境

(1)牛乳関連店舗・設備

  店数 冷蔵庫 冷凍庫 自販機
本店 1店 4.5坪 3坪 1台
  • 現在は、東日暮里にある本店1店舗で経営している。

(2)牛乳関連営業用車両台数

保冷車 冷蔵車 軽トラック ワゴン車
バンなど
二輪車等
その他
持込車
5台 1台
バンに保冷バッグで品質管理
  • 保冷車や冷蔵車は所有していないが、保冷バッグや蓄冷剤などを使用し、品質管理対策は積極的に行っている。

(3)牛乳関連従業者数

  経営者 家族従業員 専従従業員 パート
アルバイト
合計
男性 1人 2人 5人 8人
女性 2人 3人 5人
合計 1人 4人 8人 13人
  • 家族従業員等はおらず、親族経営ではない。
  • 専従従業員は仕入・事務業務、パート・アルバイトは配送・事務・配達業務を行っている。営業については、外注を活用している。

(4)経営状況

①令和6年製品別売上高(%)
商品分類 前年比 構成比
牛乳関連 普通牛乳 135.5 64.8
加工乳
LL牛乳
乳飲料
ヨーグルト
その他宅配商品
牛乳関連合計 135.5 64.8
宅配卸以外の売上計 91.8 35.2
合計 116.1 100.0
②令和6年業態別売上高(%)
業態 前年比 構成比
宅配 134.0 61.4
卸(小売) 172.0 3.4
自販機
集団
その他 91.8 35.2
合計 116.1 100.0
  • 前年比135.5%と大きく伸びている。その要因としては、明治乳業の販売店へビン牛乳の卸売りを始めたためである。また、宅配卸以外の売上高は、インターネット事業(Yahooショッピング、楽天市場)での粉ミルク、ヨーグルト等の売上である。
③令和6年粗利益(%)
商品分類 前年比 構成比
牛乳関連 普通牛乳 123.1 100.0
加工乳
LL牛乳
乳飲料
ヨーグルト
その他宅配商品
牛乳関連合計 123.1 100.0
粗利益率 39.0
  • 牛乳関連全体では123.1%と大きく伸びている。
    しかし、粗利益率については、卸売が増加したことにより、前年比マイナス4%と大幅ダウンしている。
④配達の状況
配達
時間帯
コース数 集金方法(軒) 日均
本数
毎日 週3 週2 週1 訪問 振込
CVS
引落 キャッシュレス 合計
早朝     8 3               2400本
午前           70 1532 494 7 581 2684
午後                      
夜間                      
その他         6            
合計     8 3 6 70 1532 494 7 581 2684
  • 1:00~7:00までの早朝配達が中心であり、その他の6コースについてはクール便を使ったものである。
  • 集金については、訪問集金は高齢のお客様が中心である。また、キャッシュレスはクレジットカードによるものである。

(5)立地環境

  1. 世帯数は874,000世帯の住宅地である。
  2. 荒川区、台東区、文京区、北区、足立区を商圏としており、東京の下町を中心とした、地域である。
  3. オートロックマンションが多い地域であり、その対策として、クール便の活用を行うことで商圏拡大を行っている。

経営方針

「地域密着とお客様のニーズに合わせる」

上記を経営方針としている。従業員には言葉で周知徹底を行っている。

拡売の方針としては、クール便を含む宅配業の拡大とインターネット事業での売上アップを目指している。

活動内容

1.商圏エリア外へのアプローチ

①クール便の活用

  • 該店の宅配の商圏となる地域はオートロックマンションが増加している地域であり、牛乳の宅配がしにくい。そこで、宅配ではなく、宅配業者のクール便を活用した配達方法を積極的に実施している。
  • 郵便局やヤマト運輸のクール便の活用は2週間に1度の頻度で行っており、現在、のお客様は1,300件となっており、該店のお客様の半数がクール便を活用している。
  • 商品を配達する段ボール箱に関しては、該店で企画した、商品(飲むヨーグルト)が14本(2週間分)入る大きさでの段ボール箱を作成し、配送している。お客様からの高評価をいただいている他、商品の品質保持にも役立っている。
クール便のチラシ
商品の大きさに合わせた
オリジナル段ボール

②インターネット事業の活用

  • 2006年より、楽天市場やYahooショッピングにて、インターネット事業を開始した。
  • 楽天市場では「Lait・Nature(レ・ナチュレ)」という名前で出店を行い、発酵乳や牛乳、粉ミルク等を販売し、発送を行っている。
    購入者の評価も非常に高く、4.82となっている。
楽天市場の該店のバナー
楽天市場の該店の評価

2.営業体制の確立

①イベント営業の実施

イベント営業時のブース
  • もともとは、営業専門の営業マンを雇用し、訪問営業を中心に顧客拡大を行っていたが、なかなか営業員の育成が上手くいかなかったことから、2016年よりイベント営業を開始した。
  • 現在のイベント営業の実施回数は、月に10~15回と非常に多くの回数を行っている。
  • 実施場所はスーパー、郵便局などが中心である。

②外部営業会社の活用

  • イベント営業については全て外部の営業会社を活用している。
  • 取り入れたのは6~7年前で、試食販売や携帯電話の営業マンを中心にインターネットで探し、求人を行った。
  • 現在は15名の外部営業マンがおり、積極的に実施している。また、外部営業会社の窓口と定期的に商談を実施し、拡売に向けた取り組みを行ったり、メーカー担当者と一緒に商品勉強会を実施するなど共同で拡売に向けて活動している。
  • 結果として、元々自社社員の営業を担当していた人材が配達や事務で活躍してもらうことが出来るようになり、効率的な営業体制を確立することができるようになった。

3.地域連携と顧客とのコミュニケーション

①銭湯との連携

銭湯のショーケース販売
  • 東京都荒川区周辺は昔ながらの銭湯が数多く残るエリアであり、該店では積極的に連携をとっている。
  • 直接取引のある銭湯は4か所、加えて、卸売りとして他店を通した販売方法(2次店化)でお付き合いのある銭湯が11か所と計15か所の銭湯にビン商品を中心にきめ細かい対応を心掛けてして納品している。
  • 販売方法は、自動販売機ではなく、基本的にはショーケースを用いており、大規模な温浴施設だけではなく、小規模な銭湯に対してのフォローも実施している。銭湯の経営者やお客様からの評判も良く地域の活性化にもつながっている。

②他マーク販売店を巻き込んだ2次店化

  • マークに関係なく、ビン商品をフックにし、地域の牛乳販売店と連携している。
  • 2024年4月から1店舗、2025年4月から1店舗の販売店と取引を開始した。
  • ビン商品に加えて機能性商品を販売店に供給することで、宅配のお客様の減少を防ぐことに貢献している。
  • 取引を行っている販売店は11か所の銭湯や3か所の幼稚園にも商品を供給していることから末端のお客様にも喜ばれている。

③顧客とのコミュニケーション

  • 既存のお客様とは森永乳業のLINEアプリを活用し、商品の本数や種類の変更、お休みの連絡などを行っていただけるようにし、電話や手紙以外でも手軽にコミュニケーションを図ることができるようにしている。
  • 月に2回、10社のチラシを配布し、宅配商品及び市販品のお得な販売や乳製品以外の2次品の案内を行い、お客様からも好評を得ている。注文も全顧客の約3%ある。
  • また、宅配の新商品が販売された際には既存のお客様全件に無償で商品サンプルを配布しており、新商品の本数増加とお客様満足度の向上に役立っている。
お客様とのLINEでのやりとり

④見守りの実施

  • 足立区の見守り―サービスに登録し、配達や集金時に高齢者の見守り・安否確認を行っている。
  • これまでに一人暮らしのお客様の商品の取り忘れにより、緊急事態を発見し、警察にも連絡するなどの事例が数例あり、地域の見守りに役立っている。

4.業務の効率化と従業員教育

①社内倉庫のゾーニングと品質管理

  • 倉庫内を効率的にゾーニングしている。イベント資材、梱包資材、商品など配達や配送を効率的に行うことができるようにゾーニングし、保管している。
  • 冷蔵庫入口にはスリットカーテンが設置され、外気との温度変化の減少など、品質管理に役立っている。
クール便専用のオリジナル段ボール箱
イベントグッズ置き場
冷蔵庫入口のスリットカーテン

②業務マニュアルの作成

配達マニュアル
  • 新人研修に役立てるため、配達マニュアルなどを作成して教育を行っている。

③親族以外の事業承継

  • 該店は2023年に代表者を交代している。
  • 現在の社長は15年間該店の営業、店長を経験した親族以外の従業員である。
  • 親族承継が多い中、親族以外の従業員が事業継承を行っている例は珍しく、また、入社時から独立志向のある従業員を育成してきたことによる事業承継は評価できる。

経営専門家の意見

該店は東京都内でも荒川区に位置し、銭湯なども多く残る下町に位置している。この立地を活用し、銭湯などとも連携し、独自の顧客を有している。

地域的にオートロックマンションが多くあることから、通常の宅配が出来ない家庭が多いため、クール便を活用した営業への転換は大いに評価できる。それに伴い、商圏を拡大し、宅配商圏以外の地域へのイベント営業が7割を超え、拡大してきている。

また、2006年と早い段階からインターネット販売を行うなど、デジタル化を進めた形での販売も取り入れており、お客様からの評価も高い。

銭湯など地域との連携としてのアナログ、ネット販売などのデジタル化を融合して拡販していることは他店の模範となることが期待できる。

加えて、親族外での事業承継は後継者難に悩んでいる他店の参考となり、牛乳販売店の持続的な経営にも役立つことと思われる。

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